Column
コラム
「ファミリーオフィス」における資産運用
ファミリーオフィスは、ファミリーが保有するファミリービジネス株式を集約管理し、議決権を統一行使する役割を果たすのみならず、ファミリーとしてのファミリービジネスに対する影響力を維持する役割も担っています。
具体的には、納税等でファミリー株主がファミリービジネス株を売却せざるを得ない局面や、ファミリービジネスの取引先等が株式持合い解消を行う局面で、ファミリーオフィスが、ファミリービジネス株の受け皿となる役割を果たしています。この役割を果たすべく、ファミリーオフィスでは、将来のファミリービジネス株式の取得資金を確保し、ファミリーとして一定の株式保有比率を確保しつつ事業承継を円滑に実施すること等を目的として資産運用を行っています。
ファミリーオフィスにおける資産運用は、ファミリーが既に有しているファミリービジネス株式等の資産とのリスク相関性を考慮し、リスクを抑え、超過リターンの獲得を狙いとして中長期的な資産分散・時間分散を前提としたポートフォリオ運用を採用する傾向が強く、ストラテジック・アセット・アロケーションが重要視されています。
また、ファミリーオフィスにおける運用においては、株式、債券のような伝統的資産の運用、事業への直接投資、ベンチャーキャピタル投資、不動産への投資に加え、ヘッジファンド、ファンド・オブ・ファンズ、プライベート・エクイティといったオルタ ナティブ投資も活用されています。
ちなみに、主要なファミリービジネスにおける ファミリーオフィスの運用構成は、伝統的資産が 59%(株式29%、債券 17%、現金 13%)、代替資産が 41%(非公開会社株式 16%、不動産 14%、ヘッジファンド5%、金・金属 3%、絵画・骨董品3%)となっています。このうち 非公開会社株式には、プライベート・エクイティ、ベンチャーキャピタル、レバレッジ・バイアウト等が含まれています。
このように、ファミリーオフィスでは、法制度・税制度等を踏まえた資産管理・運用を行うことで、税金としての流出を最小限に抑え、リターンを高める取組みを行っています。
(出所)
UBS(2020)「UBS Global Family Office Report 2020」, UBS HP,https://www.ubs.com/global/en/wealthmanagement/uhnw/global-family-office-report/(閲覧日: 2022年 2月 20日).
水谷公彦(2023)「ファミリーオフィスの海外における現状と日本での活用に関する一考察―アルケゴス事件 の影響を踏まえてー」日本貿易学会誌60,pp.21-38.

水谷公彦
コモンズジャパン株式会社 取締役
水谷公彦税理士事務所 代表税理士
