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コラム

ファミリーガバナンス

ファミリーガバナンスの役割

ファミリービジネスには、企業の成長ステージとファミリーにおける事業承継等のライフサイクルにより、様々なステージの企業が存在します。

ファミリー株主の代表者(以下、「企業経営者」といいます)が経営を担う企業がある一方で、株式上場等を通じて所有と経営の分離が進んでいる企業もあります。このため、ファミリーの事情に合わせて適切なガバナンス体制を考える必要があり、ファミリーガバナンスについては、ビジネスにおけるコーポレートガバナンスとファミリーメンバー間での良好な関係性が構築されている状況を意味します。

 ファミリーガバナンスは、ファミリー内におけるインフォーマルなガバナンスシステムであり、ファミリービジネスとファミリーの永続を図るとともに、個々のファミリーメンバーの幸福度向上・資産増加を図ることを目的とするものです。

 企業経営者は、ファミリー株主からファミリーガバナンスを意識した経営・資本政策を行う役割を託されている一方で、経営者としてファミリービジネスの取締役会から規律を受け、コーポレートガバナンスを意識して株主・お客様等のステークホルダーに対して適切な対応を行うことが求められているのです。

ファミリービジネスにおけるガバナンス構造

(出所)東京大学大学院経済学研究科柳川範之教授作成図を参考に筆者一部修正 

 なお、欧米のファミリービジネスを営むファミリーにおいては、19世紀以降、ファミリーガバナンスを意識して、ファミリーが保有するファミリービジネス株式等のファミリー資産を集約して管理・運用することにより、ファミリービジネス株式が分散するのを防ぎ、議決権の統一行使を実現する機能として「ファミリーオフィス」が活用されるケースが多く見られています。

(出所)
水谷公彦(2022)「日本の企業経営者ファミリーにおけるファミリービジネス株式保有に関する一考察」日本大学大学院総合社会情報研究科紀要 Vol. 23 No. 1, pp.25-36.

水谷公彦
コモンズジャパン株式会社 取締役
水谷公彦税理士事務所   代表税理士