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コラム

ファミリーガバナンス

ファミリービジネスの定義について

 ファミリービジネスの定義については、論者により様々な定義があり、現時点で定着した定義は存在していません。定義が定まらない背景としては、企業やファミリーの捉え方に違いがあることにあります。

 一般的に、ファミリービジネスは、「ファミリー保有」と「ファミリー経営」の2つに区分されています。ファミリー保有は、ファミリーが発行済株式総数の一定比率以上のファミリービジネス株を所有しているケースであり、ファミリー経営は、ファミリービジネス株保有比率にかかわらずファミリーから経営者が出ているケースがあります。

 日本ではファミリー経営が多く、ファミリーによる株式保有比率に拘わらず、歴史的な経緯によりファミリーから経営者が選ばれる企業が多い状況にあります。一方で、欧米では創業時にはファミリー経営でスタートしたものの、その後の事業成長およびファミリーの相続等を通じてファミリー保有に移行する企業が多い傾向があります。このため、欧米におけるファミリービジネスの研究においては、ファミリービジネスの定義につき、ファミリー経営のみならずファミリー保有を含むことが多いのです。

 これを踏まえ、コモンズジャパンでは、日本では欧米における定義を含めて広くとらえ、次のいずれかを満たす場合に「ファミリービジネス」と捉えています。

(出所)筆者作成

①ファミリーが重要な経営のトップの地位に就任している。
②創業者のファミリーが経営に参画している。
③事業承継者としてファミリー一族の名前が取りざたされている。
④個人株主として相応の株式数を有している。
⑤必ずしも資産形成を目的としているのではなく、ファミリーの義務として株式を保有している。

(出所)

階戸照雄・加藤孝治(編著)、三井住友信託銀行株式会社・デロイトトーマツ税理士法人(著)(2020)『ファミリーガバナンス スムーズな事業承継を実現するために』中央経済社

水谷公彦(2022)「日本の企業オーナーファミリーにおけるファミリービジネス株式保有に関する一考察」日本大学大学院総合社会情報研究科紀要 Vol. 23 No. 1, pp.25-36.

水谷公彦
コモンズジャパン株式会社 取締役
水谷公彦税理士事務所   代表税理士